sohomug’s blog

住宅ライターのちょこっと仕事からはずれた話

あの町へ

あの町へ 帰りたいいつの日にか

あの町へ 帰りたいいつか

遠いあの町 懐かしい町

 

思い出は 駄菓子屋の店先に

思い出は 神社の木の陰に

思い出は 今もまだ

 

路地裏で 缶けり鬼ごっこ

路地裏で ゴム飛びかくれんぼ

夢中で遊んだ 日が暮れるまで

 

初恋の あの子は今どこに

初恋の あの子はどこに

あの町行ったら 会えるかな

 

あの町へ 帰りたいいつの日にか

あの町へ 帰りたいいつか

遠いあの町 懐かしい町

遠いあの町 懐かしい町

 

アメリカの古いフォークソング「Hello Stranger」に私が全く違う歌詞をつけたもの。作ったのは10年以上前だから、東北大震災より前のこと。阪神淡路大震災で被災して帰れない人のことを思って作ったのだった。

 

当時やってたバンドでちょっとやったけど、すぐにそのバンドが活動休止したから、そのあとはずっと眠ってた。最近、古い友だちと2人で再開したユニットでこの歌も歌い始めた。

 

彼女は私の中学時代の同級生だから、目に浮かぶ「あの町」の光景が一緒なのだ。学校帰りにジュースを買った駄菓子屋さんだったり、神主の娘がクラスにいた神社だったり。

 

にぎやかな市場と裏山の間に位置する町で、区画整理されてない細い坂道がくねくねと入り組み、昔ながらの小さな家が建ち並ぶ。そんな光景は今もびっくりするほど変わっていない。でも町が高齢化したせいで小学校は統合され、私の母校も彼女の母校も今はなく、私たちの通った中学校は移転してもとの校舎は取り壊された。中学校の前にあった駄菓子屋はなくなったけど、神社は同級生だった娘が引き継いで同じ佇まいでそこにある。

 

今、彼女も私も町は違うが同じ市内に住んでいる。特に私は一時別の市に住んでいたが、この市に戻りたくて引っ越してきた。そういう意味では大きくとらえると私たちは今も「あの町」に住んでいるのだ。だけど

 

私の今住んでいるところは、家からも通りからも駅からもバーッと広がる海が見える。一方、彼女の住んでいるのは山の中で海は全く見えないが、先日まで海のそばの職場に通っていて、職場が変わって海を見る生活ができなくなったことを嘆いている。

 

そして2人で言い合ったこと。「あの町の、ごちゃごちゃした家の間からちらっと見える海がよかってんなー」。

 

でも多分、私も彼女もあの町には住まないと思う。町は好きだし、嫌な思い出があるわけでもないけど、あの町に住んでた頃の自分より今の自分のほうがずっと好きだから、あの頃の自分のイメージに引き戻されたくない気がするのだ。これは私の思いだけど、彼女も同じなんじゃないかなーと勝手に思っている。